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田野屋塩二郎さんの塩にがりで生まれた化粧水と美容液の開発秘話

執筆者の写真: 株式会社 コタキ
株式会社 コタキ
9月28日
読了時間: 5分

「この塩にがりを使って、化粧品を作れないでしょうか」


ご相談をいただいたとき、最初に感じたのはうれしさと同時に、素材の力をどう化粧品として整えるかという責任でした。


高知県田野町で知られる田野屋塩二郎さんの塩にがりは、完全天日塩づくりの中から生まれる貴重な素材です。海水、太陽、風、そして職人の手仕事。

その積み重ねから生まれる塩にがりには、一般的な塩にがりとは違う存在感があります。


今回は、その田野屋塩二郎さんの塩にがりを使い、化粧水と美容液を開発させていただいた過程をお伝えします。


俯瞰で見た海辺の塩づくりの風景
太陽と風から生まれる素材が、今回の開発の出発点でした。

素材の魅力は完全天日塩から生まれるミネラル感にありました


田野屋塩二郎さんの塩づくりは、海水をただ煮詰めるだけのものではありません。

太陽と風の力を受けながら、時間をかけて結晶へと導いていく完全天日塩の製法です。


その工程の中で生まれる塩にがりは、単なる副産物ではなく、海の成分がぎゅっと詰まった素材として見られます。

特にミネラルの豊かさは、ご相談をいただいた時点でも大きな魅力でした。


化粧品原料として見たとき、塩にがりには独特の個性があります。


  • 海由来の素材としてのストーリーがある

  • ミネラルを含む自然素材としての印象が強い

  • 水系処方の化粧水と相性を考えやすい

  • 少量でも製品の個性を表現しやすい


一方で、自然素材だからそのまま入れればよい、という話ではありません。

化粧品は毎日肌に使うものです。

素材の魅力を生かしながら、使い心地、安定性、肌あたりを丁寧に整える必要があります。


素材の力を前に出しすぎないこと。けれど、素材らしさは消さないこと。


このバランスが、今回の開発でいちばん大切なテーマになりました。


塩にがりを化粧品に入れる難しさがありました


塩にがりは水になじみやすい素材です。

そのため、化粧水への配合は一見シンプルに見えます。


けれど実際には、考えるべきことがいくつもありました。


まず、使用感です。

ミネラルを含む素材は、配合量や組み合わせによって、肌に残る感触が重くなったり、つっぱるように感じたりすることがあります。

せっかくの自然素材でも、使った瞬間に心地よくなければ、毎日のケアにはなじみません。


次に、処方全体の安定性です。

化粧水や美容液には、水、保湿成分、整肌成分、防腐設計に関わる成分など、さまざまな要素が入ります。

塩にがりに含まれるミネラルは、他の成分との相性を慎重に見る必要があります。


さらに、見た目も大切です。

にごり、沈殿、色の変化が起きないか。時間が経っても製品として美しく保てるか。

こうした確認を重ねながら、配合量と処方の方向性を決めていきました。


接写で見たガラス容器に入った塩にがり
少量でも処方全体に個性を与える、繊細な原料です。

化粧水ではみずみずしさと肌あたりを大切にしました


化粧水の役割は、洗顔後の肌にすっとなじみ、次のケアへつなげることです。

そこで、田野屋塩二郎さんの塩にがりの個性を生かしながら、重くならない処方を目指しました。


開発で意識したのは、次のような点です。


  • 手に取ったときのみずみずしさ

  • 肌にのばしたときのなじみの早さ

  • 後肌のしっとり感

  • 毎日使いやすい軽さ

  • 塩にがり由来の素材感


塩にがりを配合すると、製品に「海の恵み」を感じさせる芯が生まれます。

ただ、その芯が強く出すぎると、化粧水としての軽やかさが失われます。


何度も試作を行い、保湿成分との組み合わせを調整しました。

水のように軽いだけでは物足りない。

反対に、しっとりしすぎても化粧水らしさが薄れる。その間を探る作業でした。


完成した化粧水は、塩にがりの個性を感じさせながらも、日常のスキンケアに取り入れやすい使い心地を目指したものです。


美容液ではうるおい感と満足感を重ねました


美容液では、化粧水とは違う考え方が必要でした。


化粧水が「整える」アイテムだとすれば、美容液は「満たす」感覚を求められます。

そこで、塩にがりを軸にしながら、保湿感やなめらかさをどう重ねるかを考えました。


美容液の処方では、肌にのばした瞬間の広がり方、なじんだ後のしっとり感、べたつきにくさを細かく確認しました。

保湿成分を増やせばリッチになりますが、入れすぎると重たく感じます。

塩にがりの存在感を保ちながら、全体を丸くまとめる必要がありました。


特にこだわったのは、化粧水と一緒に使ったときの流れです。


化粧水でみずみずしく整え、美容液でうるおいの膜を重ねる。

その一連のケアが自然につながるよう、テクスチャーを調整しました。


目線の高さで見た化粧水と美容液のボトル
化粧水と美容液は、同じ素材から異なる役割を持つ製品として生まれました。

原料の物語を製品の使い心地へつなげました


地域の素材を使った化粧品づくりでは、物語だけが先に立ってしまうことがあります。


もちろん、田野町の海や完全天日塩の背景は大きな魅力です。

田野屋塩二郎さんの手仕事から生まれた塩にがりであることも、製品にとって大切な価値です。


けれど、化粧品として手に取る以上、最後に残るのは使い心地です。


香り、手触り、肌になじむ速度、使った後の感覚。

そうした細部が整ってはじめて、素材の物語は日々のケアの中で生きてきます。


今回の開発では、原料の個性を無理に飾るのではなく、毎日使える形へ落とし込むことを意識しました。

自然素材の魅力を大切にしながら、化粧品としての品質や使いやすさを一つひとつ積み上げていく。そこに、この開発の面白さがありました。


接写で見た手の甲に落とした美容液
毎日のケアに自然となじむ感触を目指しました。

田野町の恵みを日々のスキンケアへ


田野屋塩二郎さんの塩にがりで化粧水と美容液を開発することは、ただ珍しい原料を配合する仕事ではありませんでした。


完全天日塩から生まれるミネラル豊富な塩にがり。

その素材が持つ背景を受け取り、肌に使う製品としてどう整えるか。

そこに試作と確認を重ねる意味がありました。


自然素材は、力強く、繊細です。だからこそ、配合する側には丁寧な設計が求められます。


田野町の海、太陽、風、そして職人の手から生まれた塩にがり。

その魅力を、化粧水と美容液という毎日のスキンケアへつなげられたことは、私たちにとっても大きな経験となりました。


素材の物語を大切にしながら、使い続けたくなる化粧品へ仕上げること。

今回の開発は、その大切さを改めて教えてくれました。


 
 
 

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